※本記事にはプロモーションが含まれます
マンションで光回線が遅い原因は、宅内・建物の配線・接続の経路の3つだけです。回線を変えて直るのは経路が原因のときだけで、建物が VDSL 方式なら事業者をどれに変えても直りません。「ルーターを買い替えたが変わらなかった」人は、宅内が原因ではないと分かった段階なので、残りは2つです。
回線を変えて直るのは3つの原因のうちどれか。4マスの測り方とあわせて、動画でも話しています。
1. 遅い原因は3つ。回線を変えて直るのは1つだけ
遅い原因は3つ。回線を変えて直るのは、そのうち1つだけです。
| 場所 | 中身 | 直し方 |
|---|---|---|
| ① 宅内 | ルーターの性能・Wi-Fi の規格や距離・LAN ケーブル | 機器と置き場所 |
| ② 建物の配線 | 配線方式(VDSL は上限100Mbps) | 回線を変えても直らない。方式を変える |
| ③ 接続の経路 | 夜間に混む PPPoE の経路 | IPv6 IPoE に切り替え。乗り換えで直る唯一のケース |
外から部屋までの管。細くなる場所が原因の場所。回線を変えて太くなるのは③だけ
「遅い」と「止まる」は別の症状
動画が「止まる」「音が途切れる」のは、速度(帯域)が足りないのではなく、一瞬だけ通信が途切れる(パケットロス)か、遅れが揺れる(ジッター)ことで起きます。VDSL の電話線区間と、夜の混雑した経路は、どちらもこの揺れを生みます。だから「速度を測ったら 30Mbps 出ているのに止まる」は矛盾ではありません。会議や通話で困っている人が測るべきは、下りの速度より上りと Ping の揺れです。
2. 本当に遅い?用途別の必要速度
足りているなら直さなくてかまいません。目安は、動画 5〜10Mbps、4K 25Mbps、Web 会議・オンラインレッスン 上下 3〜5Mbps(1080p でも上り 3.8Mbps/下り 3.0Mbps・Zoom 公式)、オンラインゲームは速度より Ping です。VDSL の上限100Mbps(理論値で、実際はこれより下がります)でも会議は本来足りるので、止まるなら「混雑で瞬間的に落ちている」か「宅内」です。
用途別の必要速度。VDSL の上限100Mbps でも数字の上では会議は足りる。足りないのは「揺れ」
3. 測る|有線・無線 × 昼・夜を3回ずつ
原因を1つに絞る測定は、この4マスで足ります。ルーターを替えた人も、有線で測っておくと、宅内が原因かどうかを数字で確かめられます。
有線の昼が基準。どのマスが悪いかで原因が決まる
スクリーンショットして、各マスに下り・上り・Ping(と、あればジッター・ロス)を書き込んでください。
下は説明のための例で、実際に測った値ではありません(VDSL の建物・ルーターは交換ずみ・夜だけ会議や動画が止まる、という想定で数字を置いています)。3回測った真ん中の値を書きます。Speedtest のアプリ版ならジッター(jitter)とロス(loss)も出ます。
| 昼(14時ごろ) | 夜(21〜23時) | |
|---|---|---|
| 有線(LAN ケーブルで PC) | 下り 82Mbps/上り 28Mbps/Ping 12ms ジッター 2ms/ロス 0% | 下り 19Mbps/上り 9Mbps/Ping 38ms ジッター 25ms/ロス 1.8% |
| 無線(Wi-Fi) | 下り 55Mbps/上り 22Mbps/Ping 15ms ジッター 6ms/ロス 0% | 下り 12Mbps/上り 6Mbps/Ping 52ms ジッター 40ms/ロス 3% |
見方は「有線の昼」を基準にして、ほかの3マスがそこからどれだけ落ちるかです。有線の昼は、宅内の Wi-Fi も夜の混雑も入っていない、その建物の素の実力だからです。この例だと次のように読めます。
- 有線の昼が 82Mbps で頭打ち → 100Mbps を超えないので、建物は VDSL 方式。ここは回線を変えても変わらない
- 有線でも夜に 19Mbps・ジッター 25ms・ロス 1.8% → 有線で落ちているので宅内ではない。夜だけなので ③ 経路の混雑(会議や動画が止まる正体はこの揺れ)
- 無線は有線と同じ形で少し低いだけ → 宅内は主因ではない。「ルーターを替えても変わらなかった」と一致する
- 結論: まず IPoE(4章の2日目)。それで夜が昼並みに戻れば終わり。戻らなければ建物の共用装置、昼の 82Mbps では足りない用途なら配線方式(5章の②)
3つの型|どのマスが悪いかで原因が決まる
自分の4マスが、次のどの型に近いかを見てください(数値は例。有線 昼→夜/無線 昼→夜の下り Mbps と Ping)。
| 型 | 有線 昼 → 夜 | 無線 昼 → 夜 | 原因 |
|---|---|---|---|
| 無線だけ悪い | 320 → 300Mbps(Ping 8 → 9ms) | 40 → 25Mbps(Ping 30 → 45ms) | ① 宅内(ルーターの置き場所・古さ・干渉) |
| 有線で夜だけ悪い | 85 → 18Mbps(Ping 12 → 40ms) | 60 → 12Mbps(Ping 15 → 55ms) | ③ 経路(または建物の共用装置の混雑) |
| 有線で昼夜とも悪い | 45 → 40Mbps(Ping 18 → 20ms) | 30 → 28Mbps(Ping 22 → 25ms) | ② 建物の配線(VDSL なら100Mbps 未満で頭打ち、上りは数十Mbps) |
4. 今週中に直す4日間の順番
「今週直す」なら、順番はこれです。1日ずつ進めれば、週末には「直った」か「直す道が決まった」のどちらかになります。
| 日 | やること | 結果の読み方 |
|---|---|---|
| 1日目 | PC を LAN ケーブルでルーターに直結。昼と夜に3回ずつ測る(4マス) | 無線だけ悪ければ宅内。有線でも悪ければ次へ |
| 2日目 | プロバイダのマイページで IPoE(IPv4 over IPv6)を申し込む。ルーターが非対応なら対応機のレンタルを頼む | 多くは数日で切り替わり、設定不要 |
| 3〜4日目 | IPoE 後に、困っている夜の時間帯で測り直す | 直れば終わり。夜だけ悪いままなら建物の共用装置、昼夜とも悪ければ配線方式 |
| 週末 | 配線方式なら3つの道(5章の②)から選ぶ。管理会社に方式と光配線化の予定を聞く | 戸建てタイプは承認に1か月、光配線化は組合の話 |
5. 場所別の直し方
① 宅内: ルーターの置き場所と規格
ONU は光コードの届く光コンセントの近くのまま、ルーターだけを LAN ケーブルで部屋の中央寄り・床から離した位置へ移し、Wi-Fi 6 以上のルーターと Cat6 以上の LAN ケーブルにします。会議や作業に使う PC は有線にするのが、宅内でできる最大の対策です。私が事業所でメッシュを組むときも、置き場所によっては子機まで有線にしています。
③ 経路: IPv6 IPoE に切り替える
PPPoE は夜間に混む経路を通り、IPoE は NTT の「フレッツ・v6オプション」を使う別の経路です(NTT東日本)。プロバイダの IPoE 対応と対応ルーターを確認して申し込むと、多くは無料で切り替わります。これで直れば回線の乗り換えは不要です。
昼は流れ、夜の PPPoE は交差点で待たされる。IPoE は別の道
② 建物の配線: VDSL は回線を変えても直らない
VDSL 方式は共用部から部屋までが電話線で、NTT東日本も「通信速度が低下またはご利用になれない場合があります」と注記しています。事業者を変えても電話線は同じです。
方式で上限が決まる。VDSL の建物では事業者を変えても速度は同じ
VDSL のままできることは3つ。電話線を短くする(延長コードや分岐を外す)、モデムをノイズ源(電子レンジ・電源タップ)から離す、IPoE にする。これで「止まる」が減る人は多いです。それでも足りなければ、直す道は3つです。
- 建物に auひかりの設備があれば、マンション タイプG(同じ電話線でも G契約で下り664Mbps。au 公式。建物の配線によっては最大100Mbpsになる場合あり)
- 自室に戸建てタイプを引く。月1,000〜1,500円増と管理組合の承認。引ける条件はマンションで戸建てタイプを引く方法で先に確かめる
- 管理組合で光配線化を要望する(NTT東日本に光スプリッタ設置の特設窓口あり)。要望の出し方はマンションの VDSL を光配線に変える手順にまとめています
6. 直すまでの応急処置と、止まらない保険
原因を直すまでの間、今夜の会議や通話を守る手はあります。
| 手 | 中身 | 効果 |
|---|---|---|
| 有線にする | PC を LAN ケーブルで直結 | 宅内の揺れが消える。最優先 |
| カメラの解像度を下げる | 会議ソフトの設定で 720p に。背景ぼかしを切る | 上りの必要量が半分以下に |
| 他の端末を止める | 使っている間は家族の動画・スマホの自動更新を止める | VDSL の細い上りを会議用の PC に回せる |
| 時間帯をずらす | 可能なら 21〜23時を避ける | 経路と共用装置の混雑を避ける |
| 保険: スマホのテザリングを待機 | 止まったらスマホの Wi-Fi に切り替える。1時間の会議で 1〜2GB | 「また止まるかも」の不安が消える |
7. 事業者・管理会社に伝える3点
「遅い」だけでは動きません。次の3点を伝えると、クレームではなく技術相談として扱われます。
- 有線で測った実測値(昼と夜、下り・上り・Ping)
- 昼夜の差(夜だけ落ちるか、常に低いか)
- 建物の配線方式と、IPoE を使っているか
管理会社への聞き方: 「◯号室の◯◯です。在宅の仕事で夜に通信が止まるため、建物の配線方式(光配線・LAN・VDSL のどれか)と、光配線化の予定や過去の検討があれば教えてください。」
8. 乗り換えで直る人だけの候補(公式の数値)
回線の乗り換えで直るのは、③ 経路が原因で、いまの事業者が IPoE に対応していない(または有料)場合だけです。その人には IPoE 標準の光コラボが候補で、光コラボ同士なら事業者変更で工事はありません。
| 候補 | 月額 | IPoE | セット割 |
|---|---|---|---|
| ドコモ光 | 4,400円 | 標準 | ドコモ 最大1,210円 |
| ビッグローブ光 | 4,378円 | 標準 | au/UQ 最大1,100円 |
| ソフトバンク光 | 4,180円 | 標準(光BBユニット) | SB 1,100円/Y! 1,650円 |
| GMOとくとくBB光 | 3,773円 | 標準 | なし・縛りなし |
ドコモのスマホなら、ドコモ光を GMOとくとくBB の申込ページから(GMOとくとくBB光とは別のサービスです)。いまの光コラボからの事業者変更でもオプションなしでキャッシュバック15,000円(時期によって増額あり)が付き、開通月を含めて4か月目に届くメールで口座を登録すると振り込まれます。すでにドコモ光の人がプロバイダだけ変える場合は対象外です。
ソフトバンク・ワイモバイルのスマホなら、ソフトバンク光を申込窓口のアウンカンパニーから。乗り換えならオプション加入なしで、転用・事業者変更は15,000円(新規の1ギガは最大35,000円)が、開通の確認後に現金で振り込まれます。セット割には指定オプション(月550円〜)が要り、月額は2026年12月から330円上がる予定です(11月末までに契約した人は、2年の契約期間が満了した翌月から)。
楽天モバイルの人の乗り換え先は楽天ひかり。夜の遅さに効く IPv6(クロスパス)は対応ルーターが条件なので、ルーターも一緒に見直してください。
VDSL の建物でも、auひかりの設備があればタイプG で速くできます(上の3つの道の1つ目)。au・UQ mobile のスマホの人は、申込窓口のアウンカンパニー(プロバイダは@nifty)から新規で申し込むと、マンションでキャッシュバック50,000円が開通の確認後に振り込まれます。開通月を含めて8か月以内の解約は特典分を請求されます。
9. マンションの光回線が遅い Q&A
ルーターを買い替えたのに変わらない
宅内が原因ではないと分かった段階です。有線で昼夜を測り、夜だけなら IPoE、常になら配線方式です。
遅いと管理会社にクレームを言っていい?
原因が建物の配線方式なら管理会社の領域です。上の3点を添えて「相談」として伝えると通りやすくなります。
光回線なのに100Mbps しか出ない
VDSL 方式の上限です。自分の建物の方式はマンションで光回線の配線方式を確認する方法で調べられます。
速度は出ているのに会議が止まる
帯域ではなく揺れ(ジッター・ロス)です。有線・IPoE・他端末の停止の順で減ります。
分譲マンションのインターネットが遅い
一括契約の共用帯域か配線方式が原因です。一括契約なら、自室だけマンションで光回線を個別契約する方法があります。
対策の順番は?
測る → 無線だけなら宅内 → 夜だけなら IPoE → 常になら配線方式、の順です。
夜だけ遅いのはなぜ?
PPPoE の経路の混雑か、建物の共用装置の混雑です。まず IPoE を試してください。
私は、事業所の回線を1ギガから10ギガに切り替えたとき、速度を測りながら機器を調整してきました(実測は、1ギガのルーターの無線で 620〜720Mbps、10ギガにして幹線で最大 5.8Gbps・平均 3.3〜4.2Gbps)。
参考文献
- NTT東日本「マンションタイプ サービスメニューと配線方式について」 https://flets.com/flets-hikari/next/fee_smenu.html
- NTT東日本「『IPv6アドレスを用いたインターネット接続』について」 https://flets.com/next/ipv6/
- NTT東日本「光配線方式の設備(光スプリッタ)設置要望に関する特設窓口の開設等について」 https://www.ntt-east.co.jp/info/detail/241122_01.html
- au「auひかり マンション タイプG」 https://www.au.com/internet/mansion/typeG/
- Zoom「Zoom system requirements」(帯域幅の要件) https://support.zoom.com/hc/ja/article?id=zm_kb&sysparm_article=KB0060748


コメント